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UNLAST(飲食店)

名鉄八幡駅から徒歩1分。私の小学校時代からの同級生がオーナーシェフを務めるイタリアンレストランを、設計・施工させていただきました。

長年親しくしてきた友人が、新しいお店を開業する。その大きな挑戦に、建築という形で関わらせていただけたことは、私にとっても特別な仕事となりました。

 

建築地は交通量の多い道路に面した約100坪の敷地です。そのうち約半分を駐車場とし、店舗は平屋で計画しました。

計画当初、お施主様からいただいたご要望は「半地下のような空間にしたい」というものでした。

しかし、半地下は基礎工事の費用が大きくなるだけでなく、近年増えている集中豪雨による浸水リスクも考慮しなければなりません。排水設備のトラブルによる被害も想定し、安全性を優先したうえで、「半地下のように感じられる空間」を建築で表現することをご提案しました。

その答えが、中庭を中心に据えた空間構成です。

客席の床より約80cm高い位置に中庭を設け、建物の外周にはあえて大きな窓を設けませんでした。室内から中庭を眺めることで、自分が少し低い場所にいるような感覚が生まれ、実際に地下へ下りなくても、落ち着いた半地下の雰囲気を味わえる空間となっています。

 

客席は、中庭を囲むテーブル席と、一枚板のカウンター席で構成しました。それぞれ独立した居場所でありながら、緑がゆるやかにつなぐことで、一体感のある空間になっています。

 

内装には漆喰を採用し、間接照明によって素材の陰影や質感を引き立てました。また、壁に向かうカウンター席には細長い鏡を設置し、中庭の緑が映り込むように計画しています。限られた空間でも奥行きや広がりを感じられるよう工夫しました。

トイレは男女の出入口を反対側に配置し、利用者同士が自然に視線を合わせにくい動線としています。

外壁は板張り仕上げです。あえて庇を設けず、時間とともに木がシルバーグレーへと風化していく様子も、この建物の魅力として楽しみたいと考えました。

 

そして、この建物で最もこだわったのが、中庭を囲む客席から見える風景です。

屋根にはあえて雨樋を設けず、雨の日には屋根から落ちる雨が中庭に水紋を描き、水たまりが生まれる様子を眺められるようにしました。晴れの日とは違う景色も、この店ならではの時間として楽しんでいただけたらという想いを込めています。

また、お施主様のご希望により、一部にはジュエリーなどを展示・販売できるスペースも設けました。壁から吊るした鏡が緩やかに視線を遮ることで、お客様が周囲を気にせず商品をご覧いただけるよう配慮しています。

 

この建物は、お施主様の新たな一歩とともに生まれました。

壁の仕上げなどは、お施主様にも一緒に参加していただき、共につくり上げた思い出深い建築です。

友人の夢を応援したいという気持ちと、この場所を訪れる方々に心地よい時間を過ごしていただきたいという想いを込めて、一つひとつ丁寧に形にしました。

用途 店舗(飲食店)
敷地面積 368.31m2
建築面積 113.13m2
延床面積 105.69m2
構造 木造
設計期間 2024年9月〜2025年3月
工事期間 2025年3月〜2025年9月