コンパクトな家づくりの設計ポイントは「兼ねる」と「抜く」
最近設計をしながらつくづく感じることは「家づくりがコンパクトになった」ということです。お客様のご要望を形にする設計は、昨今の資材高騰の影響もあり今後ますます工夫を凝らす必要がありそうです。私のようなつくり手が設計力を活かしてよりよい住まいづくりを提案できたらと思います。
そこで、今回は「コンパクトな家づくり」であっても居心地が良く広さを感じられるようにするための工夫をお話ししたいと思います。
コンパクトな家づくりで、私が設計をするとき考えているのは「空間を兼ねる」、「視線を抜く」ということです。家づくりがコンパクトになったと感じる理由は、以前よりも「空間を兼ねる」、「視線を抜く」を考える時間が増えていて、そこから設計の重要性も感じているわけです。
では、「兼ねる」とはどういうことか。例えば、階段下のスペースに畳を敷いて「階段とタタミスペース」を兼ねるというやり方です。HIRAOの家では階段の位置がちょうど中庭に面していて、畳にすると座った視線が下がるため、眺めのいい居場所になっています。
HIRAOの家>>https://fu-design.jp/works/new_house/p303/
MAEHATAの家では、2階の廊下と読書スペースを兼ねています。廊下を読書スペースとし、本棚は手すりに取り付けました。
MAEHATAの家>>https://fu-design.jp/works/new_house/p807/
「今は子ども部屋だけど、将来は夫婦それぞれの趣味の空間にする」というのも「兼ねる」になると思います。一つの空間を他にも利用できるスペースとして計画すれば、結果として全体の空間の数は減るけど、用途は増えていろんなことが兼ねられる空間になります。用途を限定しない「フリースペース」といったように、名前を付けない場所がコンパクトな家づくりの時には活躍してくれます。
次に「抜く」という方法についてです。一昔前は壁によって仕切られる間取りが主流だったのが、今はリビングダイニングにキッチンが入り、吹き抜けも加わって1つの空間が大きくなっています。そうすると1、2階の空間がつながり、視線が壁にぶつかるまでの距離が長くなります。窓を座って過ごす位置から対角線上に設けていれば、さらに空間を広く感じられるようになります。こうして、壁や開口の位置を工夫することで、狭くても空間を広く感じられるようになります。
最後に、家具の工夫もワンポイントです。造作は空間をスッキリさせてくれます。適材適所に設けて、空間にモノが少なくなればそれも広く見えるポイントになると思います。