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78歳の方が建てる家で参考にしたいこと

78歳の方が建てる家で参考にしたいこと

どんな方も住まいが必要である一方で、家を建てる経験はすべての方ができることではありません。人生の中で一番大きな買い物と言われる家は、年齢や性別などとは関係なく、様々な条件が揃ってはじめて現実するものではないでしょうか。

 

今回は、今年私が設計を手掛けている78歳(女性)のお客様のお話しです。特に玄関まわりは、ご年齢ならではの要望をたくさん取り入れています。人生の先輩でもあるお客様との家づくりの中から、みなさんの参考になればと思います。

 

お客様の新居は、お一人住まいとなる平屋の家。以前から南側の家の影響で、日当たりに悩みを抱えつつ暮らしていたそうです。今回、お住まいの地域の区画整理事業によって建て替えが必要となり、FU設計工房へ設計依頼がありました。

 

実はこのお客様、これまでの人生で建替えやリフォームを3度した経験がおありでした。その中で注文住宅での家づくりもあったそうですが「こうしてほしい、という要望が反映されなかったため、住みにくかった」といった感想も打ち合わせで聞かせてくださいました。

 

4回目となるFU設計工房で建てる家では、車椅子になっても入れるよう玄関を引戸にし、スロープを設けました。そして、大屋根を活用したガレージを付けて、雨の日でも濡れずに玄関へ移動できます。玄関ホールとリビングの扉をスリガラスにすることで防犯上、室内が見えないようにしています。その他、靴の脱ぎ履きがしやすいよう手すりを設け、土間収納も兼ね備えた間取りとなっています。 

 

玄関周りについては、お花が趣味ということもあり「季節の花を飾れる台が欲しい」というご要望で棚を設けることにしました。他には、前の住まいのお庭にあったバラと梅の木を移植し、ウッドデッキでは地植えではなくハンギングバスケットでお花を楽しまれる予定です。私への要望はしっかり職人さんへと伝え形にできるため、過去の家づくりで諦めてしまったことも、この家でやり直せてもらえたら嬉しいです。

 

「もともと施設に入るつもりで暮らしていましたが、家を建て替える機会に恵まれ、この家で暮らせる限り生きようと思ってます」と、先日これからの暮らしのことを話してくださいました。家づくりは、その人にとっての道標をつくってあげることなんだと、この仕事を通じて感じています。完成後、またみなさんへご報告できる時を楽しみに工事を進めていきたいと思います。