仏壇・神棚をどう設けるか〜実家の建替計画からのアドバイス〜

長い人生には、家族が増える時や大切な人が人生を終える時といった様々な時がありますね。そして、家はどんな時でも私たちの暮らしの変化や気持ちにいつも寄り添ってくれるものです。
今回は、新築の家づくりの際にご相談がある仏壇や神棚の設け方についてです。このテーマは、私の実家が区画整理の影響で建て替えとなり、そこに住む両親からの相談がきっかけとなっています。では、実際に両親とのやりとりをご紹介しながら進めていきたいと思います。
取り壊しとなってしまう両親の今の住まいには、神棚があります。新居には、神棚を設置する計画があり、さらに母から「新しい家にも人が呼べる広さの床の間がある和室が欲しい」という要望がありました。理由は「法事を家でできるようにしたいから」とのこと。設計士である私からは「物価上昇で家づくり全体の費用が上がっている昨今、法事は何度も行うことではないと思うけど、本当に必要なの?」と率直に自分の考えも交えて確認しました。話し合いの結果、この要望を取り入れることとなりました。
私の両親のように、仏壇や神棚を設ける必要があるご家庭は必ずいます。その場合、まずは家づくりの始めの段階で必要性を確認します。そして、私の両親のように、使用頻度と照らし合わせた上で予算に余裕があるかどうかを慎重に考えていただくことが大切だと思います。
一方、限られた予算の中でやりくりしたい方には和室(客間)を1階に設け、日頃は寝室や書斎、趣味部屋として他の目的と兼ねて計画するのがおすすめです。ただ、神棚や仏壇は設置の向きに決まりがあります。将来のことを踏まえて居室の設計をしておくことも重要です。あとは私の実家での経験として、いざ客間として使う準備に困らないよう、モノであふれてしまわない使い方にも配慮していただくといいと思います。
最近では、省スペース化の意味でリビングの中に仏壇を設けるご相談もあります。私が配慮するのはご家族のみなさんがどんな気持ちで故人と向き合って暮らしたいかということです。リビングに設ける場合、仏壇を設置するところに建具を設けて、開閉できるようなつくり方をご提案します。形式よりも気持ちを優先しながら考えることも、家づくりの大切な要素ではないかと思います。